旅と手仕事の探求

愛媛・砥部で出会う白磁の美 手軽に楽しむ砥部焼絵付け体験

Tags: 砥部焼, 絵付け, 愛媛, 伝統工芸, 陶芸

旅の思い出に描く、世界で一つの砥部焼

旅先で少し特別な体験をしてみたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。愛媛県の中予地域に位置する砥部町は、その名の通り「砥部焼」の産地として知られています。厚手で丈夫な白磁に、藍色の顔料「呉須(ごす)」で図案を描くのが特徴です。この砥部焼の伝統に触れることができる絵付け体験は、特別な技術がなくても気軽に参加でき、旅の楽しい思い出作りにおすすめです。

筆に想いを乗せて器に描く絵付け体験

砥部焼の絵付け体験では、まず湯呑みやお皿など、絵付けを施す器を選びます。器の形を選んだら、次に筆と呉須を使って自由に絵や模様を描いていきます。呉須は焼成すると藍色に発色する顔料です。体験では、あらかじめ下書きをしたり、工房に用意されている図案を参考にしたりすることも可能です。絵を描くのが得意でない方でも、簡単な模様や文字を入れるだけでも、個性的な作品を完成させることができます。

体験にかかる時間は一般的に60分から90分程度です。絵付けが終わった作品は、工房で丁寧に焼成されます。焼き上がりには数週間かかるため、後日受け取りに行くか、配送を依頼することになります。

伝統を守り、新たな風を吹き込む職人の物語

砥部焼の歴史は約240年前に遡ります。伊予松山藩が陶磁器生産を奨励したことから始まり、その後、砥部町で採れる陶石を原料とした白磁の焼き物として発展しました。厚手で丈夫な器は、日用品として多くの人々に愛されてきました。

体験を受け入れている多くの工房では、こうした砥部焼の伝統的な技法を受け継ぎながらも、現代のライフスタイルに合わせた新しいデザインの器も生み出しています。体験を通して、職人の方々が日々土と向き合い、伝統の技を守り伝えることへの想いや、作品に込める温かい人柄に触れることができるかもしれません。工房によっては、共同窯を見学できる機会もあり、地域全体で焼き物を大切にしている様子を感じ取ることができます。

旅の記憶を宿す自分だけの器

絵付け体験を通じて得られる最大のものは、やはりご自身の手で作り上げた世界に一つだけの砥部焼の器です。旅先で体験した思い出とともに、完成した器は日常使いの器として、あるいは記念品として、長く大切に使うことができるでしょう。家族や友人それぞれが思い思いの絵を描き、互いの作品を見せ合うのも楽しい時間となります。焼き上がった器を目にするたび、愛媛を旅した温かい記憶が蘇ることと思います。

体験を楽しむための基本情報

砥部焼絵付け体験ができる工房は砥部町内に複数あります。

旅の彩りに砥部焼の温もりを添えて

愛媛県砥部町での砥部焼絵付け体験は、伝統工芸に気軽に触れることができる貴重な機会です。絵を描くことに自信がない方でも、シンプルな模様や文字を入れるだけで、個性あふれる作品が完成します。ご家族やご友人との旅行に、皆で楽しめる体験を加えてみてはいかがでしょうか。旅の思い出とともに焼き上がった器は、きっと日々の暮らしを豊かに彩ってくれることでしょう。